このまま職を転々とするのは良くないと判断し、私は次の行動に出た。
無職になる度に想像を絶する不安感が押し寄せてくるが、この時は目標が決まっていたため、すぐに行動が出来たと思う。
私はハローワークに向かい、すぐに職業訓練のコーナーでどんなものがあるか目を通す。
以前は失業保険があるから、職業訓練を受けようとは思っていなかった。
その失業保険の期間も残り僅か。フリーターだった為、国民健康保険や年金も未払いが嵩み、なけなしの貯金を全て使って支払った。
住民税も結構な額で、一気に無一文となったのだった。
実力をつけたい

飲食店でのアルバイトをして分かったこと。それはパソコンを使った仕事がしたいという強い想い。
私が行ったハローワークには職業訓練のパンフレットは数が少なく、全て目を通すのに時間はかからなかった。
どれもパッとしない無機質なパンフレットがほとんどだったが、一際目立つパンフレットがあった。私はそれをしっかりと読み、即決。
デザインだけでなく、コピーライティングも抜群!
この時、直感で選んで本当に良かった。
すぐに申し込みを行い、数日後に面接を受けることになる。
面接は苦手だったけど、これを失敗する訳にはいかなかった。
面接日が近づくにつれ不安が大きくなっていく。
私はこの面接に落ちた時のことは考えていなく、リスク管理が相当低かったと思う。
しかし、それだけ全力で挑むつもりでいた。『もし落ちたら・・・』なんてことはこれっぽっちも考えなかった。
そんな時、元上司から電話がかかってきた。
私は職業訓練を受ける旨を伝えたが、思っていた答えとは全然違う言葉が返ってきた。
ショックだった。しかし、私は先輩の助言は聞き入れなかった。ここで、はいそうですか。となったら、それはもう私じゃない。
私はこの時、初めて我を通した。助言ばかりに頼っていられない。自分が信じた道を進んだ。
そうは言っても合否は自分で決められない!

なぜ、こんな状況になったのか。と、振り返る。
それは自分の歩んできた道がいつも行き当たりばったりだったからだ。
学生時代、何をやりたいか全く考えなかった。いい会社に入り、やりたいことをやる。そんな漠然とした考えしかなかった。肝心の『何をやりたいか』が抜けていたのである。
大学生になり、就職活動するとなった時も漠然としており、パソコンの仕事に就きたいという、これまた漠然とした目標だった。
知識もないのに、私はなぜこんな漠然とした目標を持っていたんだろう。
しかし、職業訓練で募集していた内容は私が心の底からやりたいと思えたことだった。
面接当日、募っていた不安を更に不安にさせる出来事が起こった。
40名の募集に200名位の応募があったのだ。競争率はかなり高くなる。面接だったので、スーツを着てきたが、中には私服で来ている人もいた。
程なくして、面接の順番がやってくる。パーティションで区切られただけの面接室では各々に面接を受けている。
私は緊張しつつ面接官の前に座り、拙い表現力で精一杯の自分を表現した。
面接はすぐに終わり、翌日から結果待ち。結果が通知されるまでの間は自分でも気持ち悪いと思う位そわそわした。
そして結果通知が届き、緊張しながら開封する。
そこには『合格』の2文字が大きく書かれていた。