ライフスタイル

思い出とは突然やってくる

今日もいつも通りの一日が始まる。早朝の為、辺りは真っ暗だ。

私は電気をつけた。しばらくボーっとする。原因は分からないが、昔から完全に起動するまでに時間がかかる。

「・・・準備・・・すっか。」

自慢じゃないが、私のテンパ具合はひどい。どれくらいひどいかと言うと、寝癖が全然治らない。

ちょっと水で濡らしたくらいじゃ全然ダメ。寝癖直しから1日は始まる。

あっ・・・。

その瞬間、時は止まった。

 

好きだった人

当時、私には好きな人がいた。何が好きだったのかは今では思い出せない。

学校に行って、授業を受けて、遊んで。帰ったら、また遊んでの繰り返しだった。

毎日のように宿題があり、毎日のようにやらなかった。

そんな毎日の中でいつの間にか好きになった。だけど、当時の私は好きという感情も分からない。

結果、どうなるかというと、ちょっかいを出す。

小さい男の子のあるあるだろう。もれなく私もそうだった。

トントンダッシュとかやった。自分がいる側と反対方向の方をトントンして、逃げる奴だ。

大人になった今も時々やる。

後は、物陰に隠れてワッと驚かす。あなたもご存知のそれだ。

このタイミングが非常に難しくて、好きなあの子がやってくるのを待ってワッと驚かす。

しかし、そこで驚いていたのはジャイ子だった。なんて事もよくあった。

ジャイ子、あの時はごめんな。完全にお前に用はなくて、ただ驚かしてしまった。

大人になった今も時々やる。

大人になってもタイミング間違える事が多々ある。

この間、同僚にやろうとして上司にやってしまい、大目玉を喰らった。

好きな人はどんないたずらをしても、笑っていた。

それが嬉しくて、次はどんなちょっかいを出そうか毎日考えていた。

 

共通の楽しみ

しかし、あまりにも特定の人だけにちょっかいを出すと、周りから冷やかされる。

これは意外と苦痛だ。周りから好きなんじゃねーの?と冷やかされると、

「ち、ちげーし!」

と高確率で答える。そう答えたとしても、周りは「ヒューヒュー!」と囃し立てる。

だから、調節が必要だ。好きな子以外にもちょっかいを出して、カモフラージュするのだ。

教科書に載っている偉人の顔に落書きをし、ジャイ子に見せる。笑わせたら勝ち。

ジャイ子には何回も勝っていた。そして笑い声が大きいから注目をよく集めたものだ。そして先生に怒られる。

そして、周りが囃し立てる。が、ジャイ子に関しては全然痛くも痒くもなかった。

ごめん、ジャイ子。

そんな事を毎日やっている中、私はアプローチを変えた時があった。

ちょっかいとかそんなんじゃなくて、もう普通に会話。盲点だった。ちょっかいが全てだと思っていた。

まだ小さい頃だったので、アニメの話をしたんだけど、それがかなりウケが良かったのだ。

ウケが良かったのに驚いたが、普通に話してみて楽しんでくれている。それがとても嬉しくなってる自分に一番驚いた。

それからというもの、アニメの話をよくするようになって、一緒に帰ったりした。

何回か一緒に帰ってる途中、なんとCDを貸してあげよーか?と提案してきた。

照れてる姿なんか絶対見せてはならない。だから誠意一杯答えた。

「お、おう」

大失敗だった。

 

まさかの電話

そこから、何回も色々なCDを貸してくれた。まだ、音楽に興味がなかったけど、好きな女の子がどんな曲を聴いているのかは興味があった。

だから、この曲は好きだとか、この曲は分からんとかそんなチープな感想を報告していた。

だけど、これも大ウケ。あまりにも大ウケで次のCDを貸してくれる。

どんだけ持ってんだ。

それから、しばらく経つと家に電話が来るようになった。まだ携帯電話なんてない。実家に電話が来るのだ。

オカンはニヤニヤして、

「好きな子さんから・・・電話きたよ?」

これは周りに囃し立てられるより苦痛だった。ニヤニヤしやがって。

「い、いいから貸せよ!」

と受話器を奪う。同年代のヤロー共なら誤魔化せたけど、偉大な母には誤魔化せなかった。全て見抜かれている。私はこの時、大人は怖いというイメージが強くなった。

電話が終わると、好きな子さんってどんな子?なんて質問責めにあう。

「単なる友達だよ!オカン、ハラ減った。今日のご飯なに?」

「カレーだよ。好きな子さんはカレー好きなの?」

話題をそらしても、この通り。ブーメランのように戻ってくる。恐ろしい。

オカンの話は置いておいて、この時の電話は感想の報告が義務付けられていた。

義務付けられていたとは言ったものの、電話が来るのは素直に嬉しかった。それに楽しかった。

「アニメの予告見た?次は絶対○○になるよねー!」

本当、友達と話すような内容ばかりだったが、なぜか質が違う楽しさがあった。

 

 

 

 

 

そして、その子が今の奥さん。

 

 

 

 

 

 

・・・ではなく、落ちゆくコップを拾おうとした。

・・・ガチャン!(この間、0.2秒)