ライフスタイル

あともう少しでけしからん日がやってくるっていう話

もう何十年も前、当時学生だった私は特にパッとしない学生だった。勉強ができる訳でもなく、運動神経がいい訳でもなく、カッコいいわけでもなかった。

なんかこういうと何も取り柄がないと思われるかもしれないけど、そんな事はない。良いところはいっぱいあった。

・・・当時、何の取り柄もなかった私は密かに恋をしていた。

周りの友達が段々と女子と付き合っていくことに対して、私は正直焦っていた。

いつも一緒に帰っていた友達が、

ごめん、彼女と帰るからまたな!

って言われた時は驚きが隠せなかったのを覚えている。・・・田中、お前もかと。

私を置いてどこを行くんだ、田中

 

田中、覚えているか?

ポケモン、あんだけ一緒にやったじゃねーかと。

ポケモンやる時に赤にするか緑にするか被らないように会議開いたじゃないか。

物語をどこまで進めたか争った中じゃないか。

ポケモン図鑑を埋める為に、ポケモン交換したじゃないかと。

これから通信ケーブルを繋ぐ相手は誰だよ?

 

学年一のマドンナだった。

 

分かる。昭和な表現だってのは分かってる。だけど、言わせて欲しい。高嶺の花マドンナと手を繋いで帰る後ろ姿を見守っている私はとても滑稽な図になっていただろう。

どんな幻のポケモンよりも羨ましよ、ホント。

田中、もし良かったら俺のフシギバナと・・・いや、何でもない・・・。

田中、幻のポケモンマドンナと仲良くな・・・。

 

それから月日が経ち、相変わらずむさ苦しいグループに居た。

鈴木「○○が1組の××と付き合ってるらしいぜ。」

さと「マジか!?とうとう〇〇まで向こう側に行っちゃったんだな・・・」

鈴木「あ~!!俺にもモテ期来ないかな?3回もあるんだろ?」

さと「鈴木、それは普通の人には3回くる。ブサイクにはモテ期は来ない。残念ながら、俺も・・・お前も・・・。」

そんな悟りさえ開いていた。

私も幻のポケモンを探しに行くよっ☆

むさ苦しいグループに居ながら私は水面下で作戦を立てていた。

その名も、

 

彼女作るぞ、大作戦

 

・・・分かってる。言うな。ネーミングの事は。

このミッションは短い人生の中で一番考えた瞬間であった。まず、田中はカッコ良かった。

そして私はというと、お察しの通りそうではなかった。鈴木も。

しかし、私とそうルックスが変わらないようなヤツにも彼女が出来ていた。その差は何か。

それは才能だという事に気が付いた。

  • カッコイイ
  • 運動神経が良く、何かに活躍している
  • 頭がいい
  • 絵が上手い
  • やっぱりカッコイイ
  • ヤンキー

まず、もう顔についてはどうしようもなかった。こればかりはどうしようもない。

次に運動だ。部活はやっていたが、大した成績もなく全く目立っていなかった。

今からどんなに打ち込んでも結果は出ないだろう。

勉強はパッとせず、絵なんて描いた事ない。ヤンキー・・・ってタイプじゃない。そもそもヤンキーは才能じゃない。カッコイイも才能じゃないな。当時考えた作戦は穴だらけだ。

とにかく才能は全くなかった私は、ある噂を聞く事になる。

何でも、好きな子が地元で一番偏差値が高い学校を志望しているって事だった。

もう、これは勉強するっきゃない!何がなんでも!!

そこから猛勉強を始める。その姿、苅野勉三の如く

これを逃したら『彼女作るぞ、大作戦』は大コケする。見てろ、凡人の底力ぁ!!!

この時、あまりに真面目に勉強に打ち込んでいる私を見て、オカンが本当に喜んでくれていた。

動機が不純でごめん、オカン。

でも、分かって欲しい。もうあのむさ苦しいグループから脱却したいんだ!

私にはモテ期は来ない。モテなくてもいいんだ!たった一人の好きな人とつきあいたい!

徐々に成績を伸ばしていく。テストでも順位をグングン上がっていった。

手応えはある!

でもまだだ!

心の苅野勉三はまだまだ足りないと言う!

そして、進路を決断する時期に差し掛かると担任からは無慈悲な言葉をもらう。

「今の成績だと〇〇は無理ね。××にしときなさい」

そして××に合格したけど、好きな人とその後会うこともなくなってしまった。見事に『彼女作るぞ、大作戦』は失敗した。

ごめん。オカン。

ごめん。苅野勉三・・・

おまけ

ーー後日ーー

さと「お、田中!久しぶり!」

田中「久しぶり!元気してたか?」

さと「元気にしてたよ!マドンナとは最近どうなの?幸せにやってるの?」

田中「実は結構前に別れたんだよ。別々の進路になってからさ。」

さと「そっか。久しぶりにポケモンでもやるか?」

田中「やらねーよ(笑)」

そろそろ邪悪な214日がやってきます。

モテ期がやってこない私にTitterで「ハッピーバレンタイン」と送っていただけると生きてて良かったと思えるので、どうぞよろしくお願いいたします。